多彩な執筆者がニュートラルな立場で「トラックと物流」を取り巻く諸問題に鋭く切り込む新感覚コラム
執筆陣 西襄二 多賀まりお 森田富士夫 大山健一郎 豊田榮次


運送業界の重層構造と下請法違反 更新日:6月25日(木) 執筆者:森田富士夫
 いうまでもなく貨物輸送量が減っている。このような状況の中で懸念されるのが下請法違反の一そうの増加だ。トラック運送業界には、荷主と事業者間における取引の公正化と、元請け下請け事業者間の問題がある。公正取引委員会が発表した「平成20年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」によると、荷主との取引公正化では、4月15日に荷主2社に警告、また荷主25社(35件)に注意を喚起している。

 これら荷主と事業者の関係もさることながら、下請法違反の措置件数(勧告+警告)が最も多いのが道路貨物運送業である。20年度に下請法違反として措置した件数は全業種で2964件。このうちの308件(10.4%)がトラック運送業だった。下請法違反行為の類型には、書面交付義務や書類保管義務などの手続規定違反と、実体規定違反があるが、実体規定違反で最も多いのも運送業で171件(12.4%)だ。

 運送業における実体違反の行為類型別では、支払遅延121件、減額21件、買いたたき10件、購入等強制5件、やり直し等4件、利益提供要請2件などとなっている。他の業種では割引困難手形が多いが、運送業の場合には支払遅延が多い。これは運送業では手形決済が少ないが、実質的には支払サイトの延長と同じ行為が多いことを意味している。また、減額としては表れてこないが、事前の単価切り下げも少なくないのではなかろうか。

 不況の中で支払サイトの延長が増えるのではないか、という心配もあるが、現在の時点では少ないようだ。それ以前の問題で、「輸送量の減少で請求金額が少なくなっている」という声が多い。中には、物流子会社が貨物量が減少しても自社の取り分を維持するために値下げを要請してきたという事例もある。これは物流子会社に限らず、元請け事業者でも事情は同じ。下請法に抵触しないケースでも、運賃単価の下落が心配される。


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◇執筆者のご紹介

●西襄二 海外取材も精力的にこなす、日本随一の国際トラックジャーナリスト
●多賀まりお パリダカ従軍記者にして、メカに詳しいトラックレポーターの第一人者
●森田富士夫 トラック界随一の辛口評論家。ファンが多く、著書多数
●大山健一郎 トラック技術の権威、経営の元トップ。鋭い批判姿勢が好評
●豊田榮次 全日本トラック協会専務理事。トラック業界の顔の一人


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