多彩な執筆者がニュートラルな立場で「トラックと物流」を取り巻く諸問題に鋭く切り込む新感覚コラム
執筆陣 西襄二 多賀まりお 森田富士夫 大山健一郎 豊田榮次


不採算荷主からは撤退の動きも 更新日:10月9日(木) 執筆者:森田富士夫
 最近のトラック運送業界の動向をみると、景気後退が強まり、燃料価格高騰などコストが上昇する中で、燃料サーチャージや運賃値上げ交渉で合意点が見いだせない不採算荷主から撤退する動きが始まってきたこと。また、低運賃の長距離輸送は敬遠し、近場で自車両の稼働率向上を図る傾向がいっそう強まってきたことが特徴といえる。とくに燃料サーチャージや運賃値上げでは、一部ではあるが強気の事業者も出てくるようになった。

 先日、関東地方のある会社の社長に会った時の話では、午前中に社内の会議をやっていたが、ある荷主が値上げに応じないという報告を聞き、「すぐに行って交渉してこい、ダメなら取引を止めてもいい」といって会議の途中で席を立たせたという。同社長によれば、商売である以上は採算の取れない仕事を続けていてもしょうがない、のである。このように、燃料サーチャージや運賃値上げの動きは徐々に拡がりつつある。

 また中部地方のある事業者は、「運賃値上げを交渉したがダメで、それなら車両を効率的に稼働できるように、納品時間を調整しようと交渉したがそれでもダメなので撤退した」という。同じようにこの間、不採算荷主から撤退した事業者は他にもいる。このように荷主から撤退するだけではなく、安い運賃の仕事は最初から取らない、という傾向も出てきた。かりに安い運賃の仕事を取って傭車に出したとしても差益がとれないからである。

 従来は、採算のとれない長距離の荷物は傭車に出し、採算のとれる近場の荷物は自車両で運ぶ、というのが一般的な考え方であった。しかし、長距離であればあるほど燃料高騰分を運賃に上乗せしなければ同業者として忍びない。このようなことから、「基本的に採算のとれないような仕事は新規に取らない。採算性の良い仕事を開拓して自車両の稼働率を高めることを基本にしていく」(関東のある事業者)という傾向が強まりつつあるのだ。


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◇執筆者のご紹介

●西襄二 海外取材も精力的にこなす、日本随一の国際トラックジャーナリスト
●多賀まりお パリダカ従軍記者にして、メカに詳しいトラックレポーターの第一人者
●森田富士夫 トラック界随一の辛口評論家。ファンが多く、著書多数
●大山健一郎 トラック技術の権威、経営の元トップ。鋭い批判姿勢が好評
●豊田榮次 全日本トラック協会専務理事。トラック業界の顔の一人


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