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運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事。(毎月第1週に更新)

引越から派生した生活パートナー事業を展開
                            
◆◆ 潟gランスフォーマー
の場合 ◆◆

2010年7月

 

 

「引越事業は、一般の人たちの生活と密接に関連したサービスである。したがって、引越サービスを行っていると、生活者の様ざまなニーズを把握することができる。これらのニーズを汲みあげて事業化できれば、多様なサービスの創造が可能になる。このように引越事業から派生したサービスを独自に展開するために、新会社を設立するのも物流企業における事業多角化の一つの経営手法であろう。高齢者の生活パートナーを目指して、昨年(09年)11月に設立されたトランスフォーマー(本社・東京都港区、坂田いくこ社長)も、そのような会社の一つである。引越サービスから派生するニーズの中には遺品の整理などもある。また、それ以前の段階として、高齢化社会が進む中では「買い物難民」のニーズに対応するサービスなどもある。このような高齢化社会にあって、地域の活性化に貢献する生活パートナーをモットーに設立されたのがトランスフォーマーだ。



 トランスフォーマーの母体は松下運輸(本社同、社長同)である。同社は神奈川営業所、同第2センター、関西営業所、埼玉営業所、三郷配送センターをもち、保有車両数は47台、社員数は65人である。事業部門は配送部門、倉庫部門、引越部門があり、また各都道府県に協力会社をもって全国的なネットワークを構築している。このように松下運輸の事業の1つに引越部門があり、取扱は年ねん増加傾向にある。この引越事業から派生するサービスは多様で、それらの中には遺品の整理や葬儀の手配、あるいは亡くなる前のお手伝いなどもあるという。同社では、これら引越サービスから派生する多様なニーズに、これまでは引越部門で対応してきた。しかし、同社では食品関係の取り扱いも多い。そのため食品と遺品の整理などを同じ会社で取り扱うことが、取引先に対する企業イメージとしてどうか、といった問題などもあった。


 

このような中で約1年前から、引越部門から切り離した新事業への構想を練り始めた。独立した新事業を展開するに当たっては、@引越事業は需要に波動性があるが、それを緩和することが経営的には必要である。A高齢化の進行で孤独死などが増加しているが、このような悲惨な状況をなくし、地域の活性化に貢献できるような事業が社会的には求められている、というコンセプトを明確にした。そして、事前にマーケティング調査も行った。専門家に依頼して年代別のニーズの特徴などを把握するようにしたのである。ニーズの違いに応じて、アプローチの仕方も変わってくる。高齢者だけでなく、たとえば若い女性のいわゆる"お1人様"にも、将来にわたっての不安に対応できるようなサービスが考えられる。このようなニーズに対しては、不安を解消するための法的サポートなどができるような部隊(外部スタッフ)も抱えるようにした。

 



 このような生活サポート事業を目的に、昨年11月に設立されたのがトランスフォーマー。同社はソフトを提供し、ハードは松下運輸の引越部門という役割分担だ。サービス名は「ハーティライフ」で、スタッフは「ハーティレディ」である。ハーティライフとは造語で、"生き生き人生"といったような意味。サービス内容は、季節ごとの衣替え、不要の道具や破損物の処分、部屋の模様替え、病院や施設などへの入退去時の片付け、住み替えに応じた整理や片付け、介護施設などの紹介、記念ポートレートの撮影、相続・遺言・贈与などの事前相談、遺品整理、リサイクル事業、不用品廃棄などで、弁護士、税理士、司法書士など専門家とも連携している。さらにケアマネージャーやヘルパーの資格を持ちながら働いていない人たちなどのネットワーク化も進め、松下運輸の引越部門に所属している15人のスタッフも、サービス介助士の認定試験を全員が受けるようにしていく。

 



 同社ではさらにサービス態勢を拡充し、現在の介護制度ではカバーできないニーズに対応する事業を行っていく。高齢者に生き生きと生活してもらえる、というサービスの提供である。さらに今後の新サービスとしては、リサイクルショップやネットオークションなども構想している。また、1人暮らしの高齢者の安否確認もサービス化できないかを検討中のようだ。安否確認サービスにはITの活用が必要になるが、IT機器に馴染んでいない高齢者では操作が難しい。またプライバシー保護との関連などもある。このような諸問題をどのようにクリアするかを現在、検討しているという。同社では当面は基本的サービスを構築しつつ、東京23区と神奈川(厚木を中心に横浜、川崎、秦野など)でサービスを提供していく。さらにその後は、代理店制度を導入して全国の大都市にサービス・エリアを広げ、いずれは地方でのサービス提供も構想しているようだ。

(物流ジャーナリスト 森田富士夫)




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