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運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事。(毎月第1週に更新)

高精度温度管理検体輸送の全国ネット構築目指す
                            
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アスク・トランスポート(株)の場合 ◆◆

2010年1月

 病院に行くと最初に血液検査をする。血液は臨床検査技師が検査するが、精度の高い検査が必要な場合は、臨床検査を専門に行う病院(臨床検査機関)に検体を送って分析を依頼する。検体は低温輸送されるが、現状では発泡スチロールの箱に入れ、ドライアイスで冷やして運んでいる。ドライアイスは二酸化炭素を固体化したもので、地球温暖化などの関係から、最近は他の保冷方法への転換が進みつつある。また、ドライアイスでは一定した温度を長時間維持するのが難しく、長距離輸送(長時間輸送)では安定した温度管理が難しい。また発泡スチロールも環境面からは好ましくないなど、現状の検体輸送には問題がある。このような現状の検体輸送の問題点を解決するため、特殊な保冷剤のパテントを持つインドの企業と提携して、高精度温度管理検体輸送サービスを昨年10月15日から開始したのがアスク・トランスポート(本社・東京都港区、黒米英雄社長)である。


 同社はこれまで首都圏を中心に、広告代理店関連(業務進行管理、送稿、放送素材仕分け・配送・保管管理、スケジュール管理)、一般輸送(引越サービス、食品や医薬品)、マスコミ・報道関係(取材原稿素材、撮影機材、イベント搬入)、コンピュータ・情報処理関係(パーツ、機器、データ輸送、精密機器)、輸出入関係(輸出入貨物、書類などの航空貨物)、セキュリティ便(証券類、金融関係、データ類、重要書類、貴重品、メディカル用品)、プロラボ関連(営業補助やルート配送)、保管・管理(コンピュータ、広報用新製品貸し出し管理、データ、放送素材)を行ってきた。そのような中で、約10年前から今後は医療関係の仕事に力を入れていきたいと考えていた。これからは環境と医療が重要な時代になるという認識からだ。その一環として検討を進めてきたのが検体輸送である。環境にも良く、品質管理も向上した検体輸送サービスができれば、環境と医療の一体化が実現できる。


 この長年の課題を解決するキッカケになったのは、昨年7月ごろに取引先の関係者から聞いた話だった。繰り返し使用ができ、温度も何度(℃)用と保ちたい温度に合わせた種類があり、ドライアイスよりも長い時間一定温度を保持することができる保冷剤がある。その特許はインドの人が持っている、という情報である。そこで早速、コンタクトをとり、保冷剤と専用ボックスを購入して試験を行った。この試験結果を踏まえて昨年10月15日から「ATMS」のサービス名で本格的に営業を開始したのである。検体輸送用ボックスの種類は8Lサイズと16Lサイズの2つで、バイクの後ろのボックスに合わせて設定した。16Lサイズなら1つ、8Lサイズなら管理する温度帯が異なる2つのボックスを同時にバイク便で運ぶことが可能だ。温度管理用の保冷剤は予冷して何度も使用でき、−20℃から8℃まで、何度(℃)用と温度帯別に検体に最適な温度を設定することができる。




 同社のG−MEN計測結果では、両サイズとも冷凍なら−10℃を18時間保持することができ、冷蔵では0℃を24時間以上保てる。ボックス内の温度はボックス正面右上に表示され外側からも確認できる。また、大きなサイズのボックスは、車両で温度調整をすることが可能だ。ATMS専用デスクで受注し、バイク便の手配などを一元管理している。渋滞など交通事情による到着時間遅延などの影響もバイク便なら少ない。バイクのドライバーも正規従業員で、輸送開始前の温度記録、輸送時の温度チェック、納入時の温度記録もとる。付帯業務として希望があれば運行時間中の温度管理データを提供するし、検体と輸送伝票に患者情報を記録したバーコード・シール貼りや照合なども行う。同社はプライバシーマークの認定を取得しており、ドライバーには個人情報の取扱について教育を徹底している。ATMSの料金は、基本的には時間・距離・輸送機材の償却費をベースに算出する。



同社ではサービスを開始しパブリシティーも行った。また、日本臨床薬理学会の年会に展示出展したところ、地方の大学病院などからも問い合わせがきている。これらのニーズに応えるには現在の体制では難しい。そのため同社ではATMSの全国的なサービス体制の構築を急いでいる。製薬会社が集中している大阪など関西圏では、業務委託先を選定して提携に向けた話し合いを進めている。その他、当面はマーケットが大きい政令指定都市での体制構築が焦眉の課題だが、これから具体的に検討することになるようだ。この高精度医療検体輸送システムのサービス体制が構築できれば、血液だけではなく、臓器移植に伴う臓器輸送や、皮膚移植のための皮膚輸送など、特異な医療関連輸送の分野で独自のサービス展開が可能になる。このように同社では、ATMSをベースに、量的、質的に絞り込んだマーケットの開拓で、付加価値の高いサービスを提供する事業展開を目指している。  (物流ジャーナリスト 森田富士夫)

* 写真提供:アスク・トランスポート



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